高江通行妨害訴訟、県の控訴断念について。
沖縄県が控訴を断念したことについて、表現の自由、民意等から、様々に、その正当性に対するたくさんの意見がだされています。
私も、その意見に賛成です。
沖縄県が県民の民意を背景として圧力を押し返した点について、敬意を表します。
私は、日弁連人権擁護委員会で、警察による人権侵害行為を検証し、警察の民主的コントロールを求めている、「捜査機関の人権侵害部会」に入っていました。
その立場から、もう一つの観点から、意見を述べたいと思います。
警察行政は、国家統治と地方自治との狭間にあり、県警察でありながら、地方がものの言えない、闇の世界です。
警察組織は、警察司法を隠れ蓑に、県の警察への行政介入を拒否するとしながら、その一方で、警察庁が各県警察の本部長、主要部長を派遣して、国の隅々まで支配権を及ぼし、各県が人件費等を負担する地方公務員である下級警察官を手足のように使い、事実上、警察庁が警察機構全体を指揮するという異常な機関です。
しかも、自衛隊のように、上部の行政組織(防衛省。防衛大臣)を持たず、シビリアンコントロール機能のない、ハダカの武装機関です。
国家公安員会、とりわけ都道府県公安委員会は、何らの実権ももたず、警察の中に事務所を置き、独自の組織も職員ももたず、警察官が職務を代行するという形骸化した組織です。、
そのような、民主的コントロールの効かない警察組織は、、政府の意向を受け、地方と対立する国の政策実現を、逮捕権をちらつかせながら強行するという、民主主義、地方自治と対立する強大な組織になってしまっています。
帝国憲法下での、内務省に所管された、国家警察を解体して、民主的警察組織を期待された、自治体警察、国家警察が解体され、中央集権的国家警察化した警察組織は、巨大化し続けています。また、全国で立法されている種々の治安条例も、警察庁主導で、全県に同一の条例が設定されています。
憲法上の基本的人権の保障をせまった、原審判決の判断は、弁護団の先生方のご尽力で獲得できたものと、心から感謝します。
原則、例外が逆転しているとの批判も聞きますが、法令を厳格に運用することを求めた原審判決は、現場での力になりえるものと思います。
今回の沖縄県の控訴断念の判断は、地方警察行政が、県の判断によって決めることができることを示した、大きな成果だと思います。
今回の県知事の判断は、警察の行為は、警察が決めること・・つまり、警察庁が決めることで、地方自治体は、これに従わざるを得ないといった、誤った組織構造を断ち、警察行政も県の地方自治の一内容にすぎないとの一点で守り、押し返したという点において、大きな判断だと考えています。
沖縄県の判断は、単なる沖縄の問題としてだけではなく、多くの地方で民意を無視して強行される警察の権力行使を、地方自治後からで押し返す、全国的にも大きな、意味のあるものと、高く評価します。
翁長知事の英断といってもよい、歴史的な抵抗だと考えます。