1 行政不服審査法に基づく、審査請求及び執行停止申立は、埋立
承認に対する 国の従前の主張と矛盾するものである。
1 国は、沖縄県知事に対する行政不服審査法に基づく申立につ
いて、1事業者として、申立権限があると主張し、その立場は
、 国民と同一の立場であると主張している。
2 しかし、公有水面埋立承認処分取消請求事件(平成26年
(行ウ)第1号事件)において、国が沖縄県をして答弁書で主
張させているのは、次ぎの通りである。
答弁書提出当時、知事は、前知事仲井真であり、国から指定
代理人の出向を求めていたのであって、その主張は国の意向に
従ったものである。
そこでは、次ぎの通りの主張を行っている。
(1)公有水面は国の直接の公報的支配権に服するものであるか
ら、これを埋め立てるⅡ当たって、都道府県知事の免許を必
要としない。
① 国以外の者がなす埋立の場合と異なって、埋立を為すた
めに、特に「埋立を為す権利」を取得する必要はない。
② 公有水面は、公共用物であり、国の直接の方法的支配管
理に服するものであるから、公有水面をうめたてるかどう
かは、本来国の判断にゆだねられるべきものである。
それゆえ、国が公有水面を埋め立てる場合には、公有水
面の管理支配を有しない国以外の者がこれを埋め立てる場
合とは異なり、免許により埋立権の設定を受けることを要
しない。
(2)法42条1項の承認は行政機関相互の内部関係である。
① 公有水面埋立法第42条1項が国において公有水面を
埋め立てる場合に、都道府県知事の承認を要件とした趣
旨は、「公有水面埋立法51条1項、地方自治法2条9
項1号により第1号法定受諾事務として都道府県がこれ
を管理するものであり、法は、国が公有水面馬立を行う
場合であっても当該埋立によって公有水面の管理上何ら
かの支障を生じる門のであるか否かを、現に公有水面の
管理を行っている都道ふけの判断を尊重し、その承認を
経させることとした趣旨である。」
② 承認を行わない場合、国は、公益の調整という観点
から都道府県知事との話し合いによってこれを解決す
ることになるが、
話会いによる解決が出来ず、都道府県知事が法令に違
反した不承認をしようとする場合には、
a 地方自治法245条の7に基づく国の都道府県知事
に対する是正の指示
b 地方自治法250条の13以下の国地方係争処理委
員会による審査。
または、
c 地方自治法第247条の8に基づく国による代執行
などの紛争解決手段が予定されている。
法及び地方自治法が都道府県知事の不承認を抗告訴
訟によって争わせるとの立法政策をとっていない。
(3) 埋立承認は、外部に対する効力を有しない。
① 国は本来公有水面に対する支配権を有しており、こ
の支配権について埋立を行う権利をゆうしているので
あり、県知事の承認は、国による埋立について、都道
府県知事との管理上の調整の観点から行われるにすぎ
ず、国の行う埋立によって、漁業権者等の権利利益が
侵害されるのは、国がそもそも有している埋立を行う
権限の行使によるものであって、同項に基づく、承認
の効力によるものではない。
1 公有水面埋立承認に関する、国の考え方と矛盾。
① 公有水面埋立承認行為は、行政の内部行為である。
② 1号法定受諾事務であり、承認に関する争いは。抗告訴訟を
予定しておらず、①是正の指示 ②国地方係争委員会
、③代執行の方法が予定されているにすぎない。
④ 本来、今回の岩礁破砕に対する県知事の停止命令に関しても、この手段をとるべきであり。
行政不服審査法の適用は考えられていない。
③ 本来行うべき手法では、執行停止手段がないことから、審査請求を脱法的に悪用したものである。
国は法令を遵守すべき義務がある。恣意的濫用は、法律の運用の体裁をとっても、法令を無視した
ファシズムであることに変わりはない。
解釈改憲といい、ご都合主義的な法令解釈がまかり通れば、民主主義の基本である、法の支配は瓦解する。