東京出張から、風邪がなおらず、今日も海に行けません。
朝から事務所で仕事ですが、なかなかのってきません。
来年からは、久々に、沖縄問題にも関心を持ってもらえる期待の新人がきてくれるので、
週一ダイビングを復活させたいと思っています。
政府は、沖縄県の意思に関わりなく、基地建設のための埋立てが可能であると述べていますが、
そもそも国が県の意思に反して、当然に埋立て行為が可能であるというのは、明らかに誤った不当な解釈をもって、世論を操作しようとしているにすぎません。
また、違法な環境アセスを前提としての公有水面埋立申請は、その前提としても違法であり、これが許可されることはあり得ないのです。
国の考えは、違法に違法を重ねる暴挙としか言いようがありません。
武器三原則を廃棄して、武器輸出の道を造ったり、福島原発事故終息を発表して、原発輸出への道を開いたり、。
「従軍慰安婦」問題は終わっている、など、何がどう終わっているのか。性的奴隷として人間の尊厳を破壊した国の個人に対する責任は、国家間の賠償問題では、解決しません。九弁連では、1992年に戦後責任を問うとのシンポを開催し、報告書にまとめています。
沖縄には、慰安所に収用された民家や、皇軍の陣中日誌に、慰安所の設計図や、「女性の値段表」が記載された資料が存在していたことが明らかとなっています。
その何処が、どのように解決したというのでしょうか。
ホント、民主党政権は、「戦争小僧」の集団としか 言いようがありません
政府は、辺野古環境アセスについて、今年中の評価書提出を主張していますが、
こんな穴だらけの環境影響調査に基づく影響評価書は到底これを認めることはできません。
② 公有水面の埋立は、環境影響評価法上の第一種事業同法2条2項ト)に該当し、
同法が定める環境影響評価手続の対象となります。
① 飛行場設置は、沖縄県環境影響評価条例の対象事業(同条例2条2項(1)別表5項)に該当し、 同条例が定める環境影響評価手続の対象となります。
2年前、沖縄県環境影響審査会で述べた意見を 何回かに分割して掲載します。 この意見書は、亡くな られた土田先生の協力を得て作成したものです。
意見の主題は、土田先生の意見を基本としています。
土田先生がお元気であれば、現在の政府の動きに対して、情報公開制度駆使して、貴重な行政情報を提 供されたと思います。その意思を受け継げていないのは、本当に申し訳ないのですが。
(第1回)
2009年9月7日
沖縄県環境影響審査会 御中
沖縄防衛局(防衛省)による「普天間」代替基地(新基地)建設計画にかかるアセスに対する意見
弁護士・三宅俊司
目次
一 はじめに
二 本件アセスの準拠法と経過の概要
三 本件アセスの問題点
第1 陸上部工事の違法性
第2 方法書作成前の環境現況調査(事前調査)の違法性
第3 環境影響評価方法書と、追加・修正資料、追加・修正資料
(修正版)の提出の評価について
:方法書作成義務違反(環境影響価法5条違反)
第4 環境影響評価方法書と、追加・修正資料、追加・修正資料
(修正版)の提出に対して、意見陳述の機会が与えられな
かったこととその評価について
第5 方法書提出から、準備書提出の間に、事業内容の追加がな
されたこと
第6 本件準備書提出後の自主環境調査
第7 法の手戻り要件
第8 準備書の作成のやり直し
付言:公聴会の開催(県主催)
一 はじめに
専門家の先生方の前で、アセス法に関する意見を述べる機会を与えて頂きましたことに、深く感謝いたします。
また、辺野古アセス訴訟に係わっている弁護士であることをふまえて、お呼び頂きましたことに対して、深く感謝するとともに、沖縄の自然環境、生物多様性を守るための審理に必要な事項は、反対派だからという予断や偏見をもたれないで、広く意見を聴取しようとされる、審査会の先生方に対して、深く敬意を表します。
弁護士として、環境影響評価法の裁判実務における法解釈論をふまえて、お話できればと思います。
しかし、我が国の環境影響評価法は、同法に違反した場合にも、直接これを差し止める手法が定められていない等、訴訟手続上は、非常に使い勝手の悪い法律になっています。
環境影響評価法そのものが、事業者アセスの体裁をとっており、衆参環境委員会付帯決議によって、戦略アセスの導入を求められる等、国際基準からしても、まだ、成長途上の法律であると考えられます。
しかし、本法解釈においては、可能なかぎり、本法の目的で ある、「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保のために資する」よう解釈し、実践すべきであり、事業推進を目的として、上限制限をするものと解すべきではなく、現在及び将来の健康で文化的な生活を確保するための、下限制限を定めた規定であると解釈すべきです。
国際的には、環境の保全が単なる個人的利益ではなく、国家による保護義務や 公共信託の理論が議論されていますが、わが国では、環境権や環境保護義務などについての明確な法規や公共信託理論の立法化もなされてません。
しかし、環境基本法3条は、環境の保全が「現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来 にわたって維持されるように適切に行わなければならない」と規定しています。
これは、環境の特質に照らし、それが特定の個人の主観的権利の枠を超えて保 全されなければならないことを示しているのであり、そのための国や個人の責務を認めたものということができます。
したがって、基本法の一つである環境基本法の定めは、環境影響評価法の解釈においても、十分尊重されなければならないと考えられます。
たしかに、立法時の立法意思は、法解釈において一つの要件にはなりますが、それは、けっして、固定したものではありません。
法解釈には、立法意思とともに、立法事実が主要な解釈要件になります。
立法事実の変遷によって、解釈に変化が生じていくことは、当然のことです。
立法意思に執着して、法解釈を限定的に行うことは、基本的な誤りを犯すことになります。
法解釈にあたっては、法律の目的を柱として解釈をすべきです。
本件で主要な問題と考えている、住民等意見の前提として、情報公開は、環境影響評価手続を実効性あらしめるための重要な手続です。
そのため、衆議院環境委員会では、環境影響評法案に関する附帯決議を付しており、
「本法による環境影響評価の実効性ある運用を確保するためには、関連する法律の適正な運用と十分な情報公開が必要であることにかんがみ、環境影響評価法のそれぞれの段階に係る情報の公開に努めること。」としています。
また、参議院環境特別委員会も同様な付帯決議とともに、「事業者に対して、積極的な情報の提供を行うよう指導すること。」を求めています。
本件では、環境影響評価方法書に記載されたる事業計画は、わずか7頁、逆に、準備書は、5400頁にもわたる膨大なものです。
記載内容を含めて違法であることはさらにのべますが、その文書形態からしても、少なくて中身のない環境影響評価方法書と、膨大で読み込み困難な準備書を開示して、住民意見を求めるなどということは、住民を愚弄する態度であるとしかいえず、情報開示の趣旨からしても、事業者の義務をつくしているとは、到底いえません。
環境影響評価方法書に関しては、情報公開の手法でしか、同書面を取得する事ができず、準備書にいたっては、極めて使いにくい形状でホームページにアップしたデーターでしか落とすことができず、
情報接近を意図的に困難にしているとしかいえないことも、指摘しておきたいと思います。
二 本件アセスの準拠法と経過の概要
1 本件新基地建設における環境影響評価手続とその準拠法について
本件工事は、 ①飛行場及びその施設の設置、
②公有水面の埋立
からなっており、
② 公有水面の埋立は、環境影響評価法上の第一種事業
(同法2条2項ト)に該当し、同法が定める環境影響評価
手続の対象となる。
① 飛行場設置は、沖縄県環境影響評価条例の対象事業
(同条例2条2項(1)別表5項)に該当し、同条例が定
める環境影響評価手続の対象となる。
1 本件アセスの経過の概要
本件新基地建設における環境影響評価手続の現在までの経過の 概要は、以下のとおりである。
│2007.03.27 │那覇防衛施設局(後の沖縄防衛局) 沖縄県に公共用財産使用協議書提出 │
│ │「海域における海生生物及び海象調査のため」の海域使用について、協議申入れ│
│ │ │
│2007.04.24 │沖縄県 公共用財産使用協議に同意 │
│ │以後、那覇防衛施設局 方法書手続に先立つ調査(「環境現況調査」)開始│
│2007.05.18 │那覇防衛施設局 海上自衛隊掃海艇「ぶんご」を投入し、環境現況調査を強行│
│ │ │
│2007.08.07 │那覇防衛施設局 辺野古崎沿岸案の方法書(本件方法書)を沖縄県及び名護市に送│
│ │付 │
│ │沖縄県・名護市 本件方法書の受取拒否 │
│2007.08.14 │那覇防衛既設局 本件方法書を公告縦覧 │
│ │ │
│2007.10.22 │沖縄防衛局 沖縄県に対し「方法書に関する意見の概要」送付 │
│ │ │
│2007.12.17 │沖縄県環境影響評価審査会 答申(条例答申) │
│ │「方法書において示された環境影響評価の項目及び手法が適切なものであるか否か│
│ │を判断できる内容が十分記載されているとは言い難い。」「審査するに足るものとなって│
│ │いないと考える。」「当該事業に係る環境影響評価方法書手続きは、事業内容がある程│
│ │度決定した上で、再度実施すべきものと思料する。」 │
│ │「現在、事業者が実施している環境現況調査は、ジュゴンやサンゴ類等の生物的環境│
│ │への影響が懸念されることから、これらの調査の実施による環境への影響を十分に検│
│ │討させた上で調査の中止も含め検討させる必要があると考える。」 │
│ │ │
│2007.12.21 │沖縄県知事意見(条例部分) │
│ │「『当該事業に係る方法書手続きは、事業内容がある程度決定した上で、再度実施す│
│ │べきものと思料する。』旨の答申がなされており、事業者においてはこのことを真摯に│
│ │受け止める必要がある。」 │
│ │「現在、事業者が実施している環境現況調査は、ジュゴンやサンゴ類等の生物的環境│
│ │への影響が懸念されることから、これらの調査の実施による環境への影響を十分に検│
│ │討した上で調査の中止も含め検討する必要があるとの審査会からの指摘があり、事業│
│ │者においては十分配慮する必要がある。」 │
│ │ │
│2008.01.11 ◎│沖縄防衛局、沖縄県環境影響評価審査会に対し、150ページの資料を追加提出(審│
│ │査会委員に限り配布) │
│ │沖縄防衛局は、埋立土砂1700万立方メートルを「沖縄近海で海砂を採取する」と口頭│
│ │で説明 │
│2008.01.18 │沖縄県環境影響評価審査会 答申(法答申) │
│ │「ジュゴンについては、国及び県のさらなる保護・保全対策を早急に講じるとともに、現│
│ │在、事業者が実施している環境現況調査は、ジュゴンやサンゴ類等の生物的環境への│
│ │影響が懸念されることから中止させる必要がある。」 │
│ │「当該事業に係る方法書は、事業内容がある程度想定できる段階において書き直しを│
│ │させる必要がある」 │
│ │ │
│2008.01.21 ◎│沖縄県知事意見(法部分) │
│ │「現在、事業者が実施している環境現況調査は、ジュゴンやサンゴ類等の生物的環境│
│ │への影響が懸念されることから中止させる必要があるとの答申を踏まえ、事業者にお│
│ │いては十分配慮し、本意見に基づき選定された調査方法に基づいて適切に調査を実│
│ │施する必要がある。」 │
│ │「法及び条例における方法書の手続は、事業者としてある程度具体的な事業計画を想│
│ │定できる時期であって、その変更が可能な時期に開始されるものであることから、当該│
│ │事業に係る方法書の対象事業の内容、環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評│
│ │価の手法について書き直しをする必要がある。」 │
│ │ │
│2008.1.28 │沖縄弁護士会会長声明 │
│ │「沖縄防衛局が作成した方法書は、審査するに足りない不十分な内容である一方、沖│
│ │縄防衛局は、方法書手続が終了する前に自然環境への影響が懸念される環境現況│
│ │調査に着手している。このような沖縄防衛局の行為は、環境影響評価法が定める手続│
│ │を形骸化し、法の趣旨を没却するものである。沖縄防衛局は、本件方法書を撤回し、手│
│ │続きをやり直すべきである。」 │
│ │ │
│2008.02.05 ◎│沖縄防衛局 「方法書に対する追加・修正資料」提出 │
│ │埋立のために1700万立方メートルの海砂を調達することや、3箇所の洗機場が新た│
│ │に記載され、辺野古リーフ内に920メートル・大浦湾に430メートルの誘導灯も図示さ│
│ │れた。 │
│ │ │
│2008.03.04 │沖縄県文化環境部長 「追加・修正資料についての意見」 │
│ │ジュゴンについて「沖縄島周辺海域に生息するジュゴンについては、これまで科学的調│
│ │査がほとんど行われておらず、その生活史、分布、個体数などに関する知見が非常に│
│ │乏しい実情であることから、これらに関する知見を事業者として可能な限り把握するた│
│ │め、生活史等に関する調査を複数年実施すること。」 │
│2008.03.14 ◎│沖縄防衛局 「方法書に対する追加・修正資料(修正版)」提出 │
│ │ジュゴンの複数年調査について明記せず。 │
│ │ │
│2008.03.15 ◎│沖縄防衛局 本件方法書に基づく調査(環境影響調査)着手 │
│ │ │
│2008.03.19 │環境法律家連盟声明 │
│ │「住民らが方法書に対して意見を述べる機会を与えるため、沖縄防衛局は、追加・修正│
│ │資料に記載された内容も含めて、再度方法書を作成し、公告・縦覧等の手続を行うべき│
│ │である。あわせて、沖縄県は、沖縄防衛局に対し、追加・修正資料に記載された内容に│
│ │ついて、再度方法書を作成して公告・縦覧等の手続を行うことを求めるべきである。」│
│ │ │
│2009.04.01 ◎│沖縄防衛局 5400頁にわたる準備書(本件準備書)を提出 │
│ │ │
│2009.04.22 │名護市瀬嵩で本件準備書に関する住民説明会 │
│ │ │
│2009.04.23 │宜野座村松田区で本件準備書に関する住民説明会 │
│ │ │
│2009.04.24 │名護市辺野古で住民説明会。いずれの説明会でも、専門用語を長々と読み上げ、住│
│ │民の質問も30分ほどで切り上げる。住民の理解を得ようという姿勢は見られず、閉会│
│ │後も住民の批判がでた。 │
│ │ │
│2009.05.15 │本件準備書に対する住民意見の締切 │
│ │ │
│2009.06.15 │本件準備書を審査する第1回目の沖縄県環境影響評価審査会開催。沖縄防衛局が本│
│ │件準備書の内容を説明し、委員から何故、辺野古なのか、環境への影響を考慮した上│
│ │での辺野古なのか、など質問が相次いだ。 │
│ │同日、沖縄防衛局から沖縄県知事に「住民等意見の概要と事業者の見解」が提出され│
│ │た。5317通の意見書を900余の概要にまとめている。 │
│ │ │
│2009.06.22 │沖縄弁護士会会長の「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価手続の│
│ │やり直しを求める声明」が発表された。 │
│ │ │
│2009.07.14 │第2回目の沖縄県環境影響評価審査会開催。引き続き沖縄防衛局が説明し、審査会│
│ │委員からの質問に明瞭ではない回答に終始した。 │
│ │ │
│2009.07.30 │第3回目の沖縄県環境影響評価審査会。宜野座村松田区の住民代表、リーフチェック│
│ │研究会、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団、ジュゴンネットワーク沖縄、4団体が準│
│ │備書への意見を発表。審査会として、「アセス法の運用について」アセス法専門家の意│
│ │見を聞くことを決定した。 │
│ │ │
│2009.08.11 │第4回目の沖縄県環境影響評価審査会。名護市東海岸の住民の意見を聴取した。│
三 本件アセスの問題点
以下、本件アセスの問題点について述べます。
第1 アセス手続のないまま着工されている、陸上部工事の違法
1 アセス前の工事着手について。
①環境影響評価法5条
事業者が実際の調査、予測、評価を開始する前に、事業の 概要と、実施する環境影響評価の内容を公開し、それについ いて、住民ら(住民、専門家等)、行政等の外部の意見を聴 取することによって、環境影響評価の内容を絞り込む方法書 作成手続(スコーピング制度)を導入している。
② 陸上部における「隊舎等の建物の建設工事」着手の違法
ⅰ 沖縄防衛局の見解
隊舎等の建設工事は、本件新基地(普天間飛行場代替施 設)建設事業(以下「本件事業」ともいう)とは無関係で あり、環境影響評価の対象外である。
代替施設建設事業とは事業の目的も実施区域も異にする 事業であることから、環境影響評価の対象に含める必要 はない」(沖縄防衛局「普天間飛行場代替施設建設事業に 係る環境影響評価準備書についての意見の概要及び事業者 の見解」9頁、2009年6月)と強弁する。
ⅱ 批判
ア 環境影響評価手続が完了しない前に、隊舎等の建設工 事に着手することは、環境影響評価法31条が定める 「対象事業の実施の制限」規定の重大な違反行為であり、 それも、書類上の手直しなどでは解決不可能な違反行為 である。
イ 事業者作成「概略工程表」には、一体のものとして、 工程表が作成されており、同隊舎の機能としても、本件 飛行場の稼働と有機的一体のものとして稼働することが 予定されている。
陸域(キャンプ・シュワブ内)における諸々の隊舎等 の建設工事は、当初から、環境影響評価手続と並行して 着手することが構想され、同構想どおり、実施されてい る。
ウ 沖縄防衛局は、隊舎等の建設工事の全体計画を明らか にしないまま、当初から、隊舎等の建設工事を本件事業 に含めず(事業者作成「概略工程表」2007年1月1 9日、第3回「普天間飛行場の移設に係る措置に関する 協議会」配布資料)、
また、
「キャンプ・シュワブにおける隊舎等の建設工事は、 普天間飛行場からの軍人・軍属等の転入に伴う人口増加 等に対応するため、隊舎、庁舎等の飛行場施設とは関係 しない建物等を事業実施区域外に機能的かつ効果的に再 配置することを目的とするものであり、
エ 隊舎等の建設工事は本件事業と一体性のあるものであ るから、隊舎等の建設工事も、環境影響評価手続の対象 とすべきである。
オ 違法な環境負荷を与えている。
海岸線での工事、土砂の流出、海域汚染の可能性。
工事内容全体計画も不明。