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2015年10月14日

幻の求釈明書

国は、仲井間県政時代、県の代理人として指定代理人を送り出し、沖縄県の提出する書面を作成していた。
ところが、翁長県政に変わると、県との対立関係を生じ、参加人とし訴訟にかかわることになった。
その訴訟において、従前、「承認」は、「免許」と異なり、公有水面は国のものだから、承認によって埋立権を付与されるものではない
と主張してきた。
ところが、参加人となったとたんに、「処分性を認める」とシラット 言ってのけた。
 承認も免許も同じく、埋立権を付与されるものだと主張するものであり、
 行政不服審査法の適用を見据えて、「事業者」と同じだとの主張が可能であるように、主張を変更したのである。

 求釈明は、国の立場を明確にさせて追い詰める予定で作成したものであるが、裁判が延期される等して、
 結局提出することができず、「まぼろし」に終わってしまった「求釈明」である。
 
 もう、提出することはないので、ブログで。


平成26年(行ウ)第1号,4号,14号
公有水面埋立承認処分取消等請求事件
原 告 安次富浩 外686名
被 告 沖縄県
参加人 国
求 釈 明 申 立 書



2015(平成27)年4月  日
那覇地方裁判所民事部 御中
原告ら訴訟代理人


原告らは、参加人国に対して、参加に当たって次ぎの点につい 
 て釈明を求めるものである。


1 求釈明事項
 1 参加人国は、従前の沖縄県の主張を援用するのか。
 2 埋立承認の法的性格及び、埋立承認に関する抗争手段につい 
   て沖縄県の主張を援用するのか。
3 そうでなければ、具体的にいかなる権利を主張するのか。

第2 釈明の必要性
 1 行政事件訴訟法22条1項所定の「訴訟の結果により害され 
 る権利」の内容が明確にされていない。

(1)原告らは、被告沖縄県は、埋立承認の可否に関してその再検 
 討を進めており、あらゆる手段をもって埋立の実行を許さない  
 旨を明確に示しており、本件訴訟提起当時の沖縄県の基本的立 
 場とは大きく異なっていると認識している。  
  従前沖縄県が提出した答弁書その他の書面は、国との同意乃  
 至協議の上で作成された成果物であると思慮するが、未だ国は、
  埋立承認手続きに関する法的評価について、何らの応答もして  
 いない。
   国は、訴訟参加申立に当たって「公有水面埋立法42条1項 
 は、国が埋立をするときは都道府県知事の承認をうけるべき旨
  規定しており、仮に同訴訟により上記承認が取り消すされれば、 
 同条項に基づく承認を受けて、上記工事を行う参加人の権利な 
 いし法律上の利益が害されることは明らかである。」と主張し、  
 裁判所も「行政事件訴訟法22条1項所定の「訴訟の結果によ 
 り権利を害される第三者」に該当するものというべきである」 
 として、訴訟参加を是認している。

(2)しかし、「具体的」に「害される権利」が何であるのかに   
 ついては、全く明確にされていない。

 2 沖縄県が従前主張している埋立承認の効力について。
(1)沖縄県は、国と共同歩調をとっていた当初訴訟において、埋 
 立承認の効力に対して以下の通りの主張を展開している。

 ① 公有水面は国の直接の公法的支配権に服するものであるか
   ら、これを埋め立てるに当たって、都道府県知事の免許を必  
   要としない。
   ⅰ 国以外の者がなす埋立の場合と異なって、埋立を為すた  
    めに、特に「埋立を為す権利」を取得する必要はない。
   ⅱ 公有水面は、公共用物であり、国の直接の法的支配管理 
    に服するものであるから、公有水面を埋め立てるかどうか   
    は、本来国の判断にゆだねられるべきものである。
 それゆえ、国が公有水面を埋め立てる場合には、公有水  
」    面の管理支配を有しない国以外の者がこれを埋め立てる場    
    合とは異なり、免許により埋立権の設定を受けることを要 
   しない。

  ② 法42条1項の承認は行政機関相互の内部関係である。
ⅰ 公有水面埋立法第42条1項が国において公有水面を    
    埋め立てる場合に、都道府県知事の承認を要件とした趣    
    旨は、「公有水面埋立法51条1項、地方自治法2条9     
    項1号により第1号法定受諾事務として都道府県がこれ    
    を管理するものであり、法は、国が公有水面埋立を行う    
    場合であっても当該埋立によって公有水面の管理上何ら    
    かの支障を生じるものであるか否かを、現に公有水面の    
    管理を行っている都道府県の判断を尊重し、その承認を     
    経させることとした趣旨である。」

  ③ 承認を行わない場合、国は、公益の調整という観点から都  
   道府県知事との話し合いによってこれを解決することになる  
   が、話会いによる解決が出来ず、都道府県知事が法令に違反  
   して不承認をしようとする場合には、
a 地方自治法245条の7に基づく国の都道府県知事に対   
    する是正の指示
b 地方自治法250条の13以下の国地方係争処理委員会  
   による審査。
または、
   c 地方自治法第247条の8に基づく国による代執行など   
   の紛争解決手段が予定されている。
d 法及び地方自治法が都道府県知事の不承認を抗告訴訟に  
   よって争わせるとの立法政策をとっていない。
 
  ④ 埋立承認は、外部に対する効力を有しない。
ⅰ 国は本来公有水面に対する支配権を有しており、この支  
    配権について埋立を行う権利を有しているのであり、県知   
   事の承認は、国による埋立について、都道府県知事との管   
   理上の調整の観点から行われるにすぎず、国の行う埋立に   
   よって、漁業権者等の権利利益が侵害されるのは、国がそ  
   もそも有している埋立を行う権限の行使によるものであっ   
   て、同項に基づく、承認の効力によるものではない。

 (2)以上の主張は、原告らの埋立承認取消請求を排斥する根拠 
   として主張されるものであるが、埋立承認がもつ法的効力、  
  従って、埋立承認の取消,撤回に関する法的効力についても  
  極めて重要な主張事項であると考える。
 
3 埋立承認の法的効力評価の重要性 
 (1)埋立承認が法定受諾事務であったとしても、沖縄県が、そ
   の承認を、自庁取消、自庁撤回を為した場合、前記承認に関   
   する法的効力に関する評価は、当然に取消、撤回を争う際の  
   効力、手続きに反映されることになる。
    沖縄県の前記主張に基づけば、沖縄県が自庁取消、撤回を 
   行った際にも、国は、これに対して、一事業者と同様に、抗 
   告訴訟ないし、行政不服審査法に基づく審査請求はできない  
   のであって、地方分権一括化法に基づいて改変された地方自  
   治法245条の7以下の各条項に基づいて、その取消の効力  
   を争わなければならないということになる。

(2)ところが、本件訴訟参加において、国は自ら得ている「埋 
  立承認」の効力を明確にしないまま、単に、「同条項に基づ  
  く承認を受けて、上記工事を行う参加人の権利ないし法律上  
  の利益が害される」と主張し、国が埋立承認によって得た権  
  利の法的性質、法的効力に対して、全く言及せず、あたかも  
  土砂を搬入して埋立行為「裸の埋立行為」が出来なくなると  
  の主張をしているにすぎないかのような仮装を行っている。

(3)国は、訴訟参加に当たって、埋立承認の効力及び、埋立承 
  認によって得た国の権限について明確にすべきである。
    上記の通りの、沖縄県の主張を援用するのか明確にすべき 
  である。
    独自の主張をするのであれば、埋立承認の効力及び、それ 
   を争う手段についての沖縄県の見解と異なるとする見解を園  
  根拠を含めて、早急に明確に主張すべきである。

4 国は当事者参加する以上、自らの権利を法的に明確にすべき 
 であり、その整理がなされなければ、原告らは明確な訴訟対象 
 を特定することができず、国は単に、訴訟遅延を図る目的っで 
 本件訴訟に参加したにすぎないと言わざるを得ない。

第3 国の主張の欺瞞性
1 国は、公有水面埋立承認に関して、沖縄県をして、前述の通 
  りの主張をさせておきながら、その一方で、埋立行為の前提と 
  して行われる「沖縄県漁業調整規則」に基づく前県知事の岩礁 
  破砕許可に対して、許可条件違反があるとして、現県知事が求 
  めた「作業停止指示」及び、「岩礁破砕許可取消」に関して、
   国の行う破砕行為も、「一事業者としての行為」と同一であっ 
  て、「国民」と同質の行為であり、救済の対象となるとして、 
  「行政不服審査法」に基づく審査請求および執行停止申立を行 
  った。
   これを受けた農水大臣は、間髪をいれず、作業停止指示の、
  執行停止決定をおこなった。

 2 行政不服審査法は、明文をもって明確に、審査請求者を「国
  民」と限定しているにもかかわらず、「国も一事業者」である  
  との詭弁を用いて、マッチポンプさながらに執行停止決定を行 
  い、大浦湾の自然環境に対する破壊的なボーリング調査を継続 
  させている。

3 沖縄県は、前述のとおり、埋立承認が、一般国民が行う際の 
  「埋立同意」と国が行う際の「承認」が異質のものであると明 
  確に主張し、その抗争手段についても明確にこれを示している。
     原告らは、その主張を是認するものではないが、少なくとも 
  沖縄県の見解からすれば、埋立承認の効力を国と県とが争う手  
  段は、地方自治法245条の7以下の手続きに基づくものとな  
  るのであって、抗告訴訟あるいは行政不服審査法に基づく申立
は不可能であるということになる。

3 しかし国は、公有水面埋立の前提としての岩礁破砕行為につ
  いて、「国も一事業者」であるとの主張をもって、行政不服審 
   査法にもとづく前記申立をおこなっている。

4 このような主張がまかり通るのであれば、公有水面埋立行為 
 そのものも、「一事業者」として行政不服審査法に基づく、審 
 査請求あるいは、執行停止申立が可能となるということになる 
 のであって、埋立承認あるいは、埋立承認取消の効果を,国自
  らの機関によって容易にこれを取消、あるいは執行停止が可能  
  ということになってしまう。

5 国の立場について、「一事業者」であるとの立場と、「許可 
  を要しない公法的権利者」であるとのとの立場を都合よく使い 
  分けることは、法的統一性、法的安定性も無視するものであり、
  自己に有利な法解釈にもって法を悪用濫用し、自らの不当な権
  利を推し進めるものであり、裁判の否定である。
かような法解釈は、国家権力による法の支配の否定である。

6 本件訴訟において、国が主張する「参加人の権利ないし法律 
 上の利益」がいかなる権利であるのかを明確にすることは、参 
 加人の主張の前提としても、不可欠である。
 7 前記、岩礁破砕行為の停止を求める県知事の行為に対して行 
 われた行政不服審査法に基づく執行停止及び審査請求に関して、 
 国は、一事業者として行為であり、国民と同一の申請適格があ 
 ると強弁しており、かような異常な国の対応から、公有水面埋  
 立承認に基づく、埋立行為についても「一事業者」として、行 
 政不服審査法にもとづき、国民と同一の申請適格があるとの主 
 張を国がおこなうのではないかとの疑念をもつ行政法学者すら 
 存在事態が生じているのである。
7 しかし、かような対応は、明らかに、国が県をして言わしめ 
 た前述の「承認」に関する主張とは矛盾する主張である。
国は、明確に、自らの主張する権利の権利性、権利の法的性
  格を明確にすべきであり、沖縄県の前述の援用する趣旨か否か
  、援用しないのであれば、国の主張する埋立承認に基づく権利
  の権利性等について明確にする必要がある。
8 ご都合主義的な主張をもって、場当り的に権利の性格を変更 
 して主張することは、決して許されないというべきであって、
訴訟進行のための不可欠な前提として、前記釈明に明確に応答 
  すべきである。

  幻の求釈明書



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