しゅんさんブログ

　九州弁護士会連合会は、国が行った高江ヘリパット建設反対運動に対する工事妨害禁止仮処分申請が、表現の自由を不当に侵害するとして、是正を求める勧告を出しました。

　国（沖縄防衛局）は、東村高江にヘリパッ建設を強行しようとしています。
　北部訓練基地の一部返還の見返りとして、ヘリパット（ヘリ着陸帯）を新設しようとするものですが、住民居住地域に近く、
新たな生活被害を生じさせる危険なものです。
　空港設置基準に満たないとの理由で、空港建設にあたらず、沖縄県環境条例の適用もないとして、条例アセスすらおこなわないまま工事を強行しています。

住民は、これに反対して、説得活動をつづけてきましたが、国は、これを威圧する目的から、高江区民を中心に１５名を債務者として、工事妨害禁止仮処分を起こしてきました。
　わずか７歳の女の子や、座り込みテントにいる夫に弁当を届けただけの奥さん、すでに沖縄を離れている人、ブログで高江へのヘリパット建設反対を呼びかけた人達で、実力妨害をした人たちは一人もいません。

　国の出した証拠は、人違いの写真や、ホームページの呼びかけなどで、もっぱら住民運動を威圧するために裁判を利用したとしかいえない仮処分申請でした。
　
　運動の中心である２名をのぞいて、その他はすべて却下されました、６歳の小児は国が自ら取り下げています。
　２名については起訴命令申し立てをしたところ、民主党政権は、妨害禁止の裁判を起こし、現在係争中です。

　この訴訟は、住民の反対行動を、国が裁判所を使って威圧しようとする目的にでたものであり、いわゆるスラップ訴訟です。

　この裁判は、もともと自民党政権下で提起されたものであり、住民の意思を大事にするという民主党は、当然その裁判を取り下げると信じて、当時の千葉法務大臣にも働きかけをおこないました。

　しかし、彼女は、その要請を受けることすら拒否しました。人権派弁護士といわれている人であれば、この訴訟の不当性は容易に理解してもらえるし、民主党政権は、住民の立場に立つと信じていました。
　そんな　化けの皮　は、もろくも崩れ去りました。

　まさか、本訴訟は起こさないだろうと淡い期待を持ちましたが、これももろくも崩れ去りました。
　
　国が国民の間に対立のある事項について、非政治性を前提とする裁判所を利用して、反対行動を弾圧する口実をつくることは、人権擁護の砦であるべき裁判所を行政権行使の道具として利用するものであり、自由の基本である三権分立を根本から破壊するものです。

　国が住民弾圧に裁判所を利用する手法は、今回の高江がはじめてであると、沖防も認めています。

　この事例が先例となり、全国で同様な裁判が起こされる事態となれば、住民運動を萎縮させ、表現の自由を侵害する重大な人権侵害を裁判所が行うというきわめて危険な状況が発生することに、危機感をもたなければならないと思います。